著者ティト・ラジャルシ・ムコパディアイ(以下ティト)は言葉を持たない重度自閉症だが、母の熱心な教育によって、内面を表現する手段としての「文字」を得て文を書き始める。
本書ではティトのこれまでの人生を哲学的思考をもとに正確な文章で表現をしている。
自分自身の持つ感覚や混乱、環境との関わり、両親の前向きな教育姿勢と努力、自分自身が何者なのかを理解するのに悪戦苦闘する姿を、丁寧に書き下ろし、詩も掲載している。
母のソマは「ティトを育てる私の旅は、まるで冒険物語のようでした。それは、ある時は険しい道を進み、またある時は坂道を滑り降り、そして『私はちゃんと“母親”をやれているだろうか?』という厳しい問いと向き合い、決断をしていかなければならない孤独な旅です」と語る。(序文から)
本書は、重度自閉症の子を持つ親や本人への応援歌である。
【目 次】 ▼(クリックで表示)
ティトの母、ソマからのメッセージ
声なき声
僕の窓
影
母の声
イメージ
母との学習
カキと出会って
体を使うということ
七歳を迎える頃
六歳までをふり返って
声なき声で語る
どこかに
家探し
不安定という罠
家庭
「アンヴェシュ」という学校
結婚式
シャンティ
囁く貴婦人
二日間の待機
学校探し
自力書字
教室での初日
パソコン操作
ヴィジャヤ・プレマさん
ラケットを使う
自分の指令通りに
感覚統合療法
読むことを学ぶ
現在の立ち位置
僕のこれまでをふり返って
思考の木
1 思考の木
2 カラスの飼い主
3 そして辺りは夜
4 幸せな男たち
5 生きている世界
6 アリたち
7 風が吹く日
8 大地の心臓
9 推測し期待する
10 足音
11 春
12 虚ろな足音 13 サル
14 冬の夜
15 聖なる木
16 枯れた葉
17 ジプシー
18 もしも…、そしてたぶん…
ティトの物語より
訳者ごあいさつ
|
|